不明確なゴールと肥大化する解決策

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シンプルな提案と複雑な提案の差

課題解決のタスクがあったとして、そのアウトプットは人によって不思議な位に大きく別れます。

具体的には「シンプルなものと作る人」と、「細かく作り込まれた複雑なものを作る人」です。

私は「常にシンプルであること、単純であることが理想」派に属しているので、複雑なアウトプットを前に「シンプルを最良と捉えない人も沢山いるんだなぁ」という感想を常に持つことになります。

シンプル vs 複雑

「どちらが良いか」という議論になると宗教戦争的な様相を呈してくるのですが、実際のところ「シンプルであること」も「細かく・複雑であること」も、お互い良かれと思ってやっていることです。

シンプルな提案は分かりやすいですし、複雑な提案も様々な可能性を網羅して検討しています。お互い「良かれと思ってシンプルにし、良かれと思って複雑にしている」のです。

この差は何から生まれるかというと、それは「物事をより根源的な上流に向かって思考を深めるか、またはより具体的な物事を目指し下流に向かって思考を深めるか」ということかもしれません。

上流に向かう意味、下流に向かう意味

課題に取り組む時に上流と下流、それぞれ両者の向かう方向が異なるのは、「ゴールが明確と捉えるか否か」の認識の違いです。

なぜ上流に向かうのかといえば、この課題自体が「そもそも何を目的としているのか」を確認するプロセスです。

逆に下流に向かう意味は「ゴールをより良く実現できる」具体的な方法検討を行うプロセスです。

その課題はゴールが明確なの?

個人的な感覚として、取り組むべき課題の99%が「全くゴールが定義されていなかったり、ゴールが曖昧」だったりします。

例えば「営業プロセスの改善」というテーマの場合、もちろん「顧客の管理手法」や「顧客へのアプローチ方法」といった思いつく改善ポイントは多くあると思います。

ですがそのような目の前にある改善ポイントにすぐ手を出さず、このようなケースであれば「この集団にとって現実的に理想の営業プロセス像はどういうものなのか」を明確にするプロセスは何よりも大事です。

「ゴールを既にあるもの」としてを定義せずに進めると、そのゴール設定の誤りによりその検討が無駄になってしまうかもしれません。

複雑さは不明確なゴールに起因?

旅行でどこに行くのかも決まっていないのに、沖縄のレストランを調べる意味ってあまりないですよね。北海道に行くかもしれないし。では沖縄から北海道までの全てのレストランを調べるのも膨大なコストがかかり非現実的です。

個人的な感覚として、複雑なアウトプットはゴールの曖昧さを放置して方法論に意識が囚われているケースが多いように見受けられます。

まずはどこに旅行にいくべきなのか、企画やプロダクトで言い換えるならば「何を実現するべきなのか」そこから考える必要があります。

アウトプットが複雑だなと感じる時は、一度ゴール設定が明確かどうか、しっかりと確認してもいいかもしれませんね。

この記事を書いたのは

福田 智洋
シックスワン株式会社。 ネット系上場企業で、サービス企画の責任者を10年以上経験。独立後も上場企業の新規事業立上げ支援などに関わる。 2018年〜2020年 国立大学にて課題解決に関する講義を担当
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