課題の種類
一言で課題解決といっても、課題というものは大きくわけて2つに区分されます。
一つは「正解やゴールが明確なもの」です。
例えば学校の勉強の多くはそのようなものですね。正解があってそれを導き出す解法を理解し実践する形です。
残ったもう一つは当然ですが「正解やゴールが不明確なもの」です。
ビジネスの世界においては多くがこちらの問題なります。例えば「シニア層に人気の写真アプリを考える」というのがテーマとしてあった場合に、どのようなアプリを作ればいいのかと言うものはすぐにわかりません。
若々しく加工できる形かもしれませんし、ノスタルジックなフィルム加工が充実している形かもしれません。 SNSとして繋がることが大事なのかもしれません。
「ゴールが明確なものと不明確なもの」が存在し、またその解決の仕方が異なるということは漠然と理解していても、明確に理解できていない人も多いのではないでしょうか。
慎重に&着実に
残念なことに、私たちは「ゴールが不明確の課題の解決方法」を教えてもらう機会は少なく、学校はもちろんのこと、ビジネス社会においても明確にそれを教えてもらうケースは少ないかもしれません
結果として、私たちは不慣れなままに答えのない課題に対して向き合っていくことになります。
その際に、多くの人は「慎重に着実に」検討進めていきます。「わからない時ほど慎重に進める。」という考えは当然ですし、よくわかります。
でも一見すると正しいのように見えるこの進め方は、多くの場合において間違っています。行き先がわかっていないにもかかわらず、一歩一歩着実に進めたとしても、到達できるゴールが正しいとは全く限りません。
着実歩みをすすめて、全然違う場所につく可能性だって多いのです。どちらかと言うならば、無駄に時間を投下して得られるものが少ないともいえます。
問題の解像度を上げる
このような場合において、一番最初にするべきことは「私たちが取り組んでいる問題はいったいどのようなものなのか」という解像度をあげることを意識します。
そのためのお薦めの方法は、慎重に一歩一歩進めるのではなく「全速力で仮のゴール向かって走る」ということです。具体的にいうならば、とりあえずの最初のアウトプットを作ってみることです。
おそらくですが、最初のアウトプット(設定したゴール)は正解には辿り着きません。
でもそのアウトプット(企画書やデザイン案やモックアップ等)をみて、ちょっと違うな…とかいい線行ってるかも、という印象をきっともつはずです。
例え間違ってるという印象だったとしても、その印象は無意識の中で「正しい答えからの差分を認識できている」ということでもあります。
では次は何をするか。それは「とりあえずつくったアウトプットを見ておかしいなと思うところ念頭に置きつつ、また最初から仮のアウトプットを作っていくこと」です。
このプロセスの繰り返しによって、不確かだったゴールがだんだんと形が見えてくることになります
失敗案から帰納法的に正解を導く
この仮のゴールまでの往復の回数が、正解がわからない課題に対する精度を上げる方法です。
間違ったゴールに到着する経験を集めて、帰納法的に正しいゴールの姿を炙り出します。
「何度も仮のアウトプットを作ったら時間が足りないじゃないか」という意見もあると思いますが、簡単なものであれば30分程度で作成できます。どちらかというと、30分を上限として仮のアウトプットを作ってみたらよいですね。
実際のところ失敗であろうと仮の案をいくつか用意することは、何も手をつかずに無為に時間を過ごすより1000倍意味があります。
何も恐れることなく、仮のゴールに向かって走り出してください。
不安な状況であれば、慎重になる事は当たり前かもしれません。 でも企画検討において、仮のゴールを作ってみると言うことを繰り返しても、特に問題は起こりません。それどころか、正しく課題を解決できないことこそが命取りになります。
私たちはより良い成果を出すために何度も駆け抜けて、正しいゴールを導き出す必要があるのではないかと思っています。
この記事を書いたのは
- 福田 智洋
- シックスワン株式会社。 ネット系上場企業で、サービス企画の責任者を10年以上経験。独立後も上場企業の新規事業立上げ支援などに関わる。 2018年〜2020年 国立大学にて課題解決に関する講義を担当
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