今日も、リマケに追いかけられて

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買ったのに・・・意味ある?そのリマケ

リマケ(リマーケティング)の追跡力は、本当にすごい。特に楽天などで一度服を見ようものなら、その服を買うまで延々と追いかけられる。何なら、すでに購入した後でさえ、「もう一度買いませんか?」と言わんばかりの勢いで、同じ服の広告が表示され続けるのだ。

リマーケティングとは、クッキーを元にしたプロモーションの手法で、一度アクセスがあった人に対して、その行動履歴をもとにバナーを出し分けたりする広告手法である。

もしこれがリアルな店舗で行われていたら、きっと私は不快に思い、そのお店には二度と行かないだろう。ただでさえ、商品を見ているときに話しかけられるのが苦手な私だ。店員さんに悪気があるわけではなく、親切心で話しかけてくれているのだとは思う。それでも私は、「ひとりでじっくり見たい」と思ってしまうタイプなのだ。

だからこそ、サイズに多少の不安があっても、オンラインで買うことが多い。実際、同じサイズのものを何度も買い直している。サイズが決まっていたらオンラインでの買い物は快適だ。

だが、そんな私でも、時折新しい服が欲しくなる。サイズ不明な買い物は冒険だ。それでも、ついついオンラインショップで商品を探してしまう。楽天、メルカリ、ZOZO…いろいろなサイトを巡る。すると、その瞬間から、私のスマホやPCの画面は、先ほど見た商品でバナーが埋め尽くされる。「こんなことをして、本当に売れるのだろうか?」そんな疑問を抱くのだが、結局数日後、そのバナーから商品を買っているのは、ほかでもない私自身だったりするのだ。

心を変えるリマケのバナー

そのときの心理を振り返ってみると、「ああ、やっぱり欲しかったな」とか、「あの値段ならまあいいか」とか、「何個あってもいいしな」などと考えてしまう。バナーを眺めながら思い悩み、最終的には「買ったほうがすっきりする。悩む時間も無駄だ」となって購入に至る。

私はECショップのプロモーションやリターゲティング広告の運用経験はない。でも、私の購入体験を振り返ると、リマーケティングは非常に効果的な手法だと感じている。

たとえば人材系の広告では、「自分が応募しようとした案件かどうか」がわかりづらく、記憶との紐づけが弱い。しかし、ECにおいては、写真ひとつで「あ、これこれ。欲しかったやつ!」と一瞬で思い出せる。これは非常に強力だ。

購入済み商品をリマケする理由

ぜひ詳しい人に教えてほしいのだが、ECにおけるリマーケティングというのは、かなりの発明なのではないかと思っている。

でも。一点だけどうしても疑問がある。なぜ「サイズ違い」「色違い」「類似商品」といったバリエーションではなく、「最後に見たままの1商品」だけを延々と出し続けるのだろうか? それは効果がないのだろうか?・・・でも、まだまだリマケには、まだまだ改善の余地、そして大きな可能性があるように感じている。

そして、最後にやはり、ひとつだけ、声を大にして言いたいのは、「すでに購入した商品の広告を表示するのは、やめたほうがいいのでは?」だ。

いや、もしかしたら違うのかもしれない。私が「同じ商品をもう一度買う」という癖を、広告システムが分析・学習しており、それを前提に表示しているのかもしれない。だとしたら、ちょっと悔しい。でも、ある意味でそれはすごい精度のパーソナライズだ。

「また出てきた、しつこいな…」と腹立たしく思いながらも、買ってよかったと感じることもある。服のマーケティングは、やっぱり罪深い──だって、思いのほか効いてしまうだから。

購入した同じ商品を出し続けるのは、「設定していないから」などという単純な理由ではないはずだ。今やきっと、何かしらの意図がある。

だから私は、今日もリマケに追いかけられながら、ふと思うのだ。

「このジーンズ、もう買ったんだけどな」と。

この記事を書いたのは

鈴木 康孝
シックスワン株式会社。マーケティング&プロモーション領域担当。クリエイティブとかアイデアとか好き。尊敬する人、村上春樹さんと永井均先生と佐藤雅彦先生。今年の目標は、プログラムと英語をちゃんとやること。サウナと交互浴が大好き。
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