― 「Re MUJI」が生み出す新しいリピート体験 ―
株価好調の背景にあるかもしれない「ブランド体験」
最近、良品計画の株価が非常に好調だ。右肩あがりでどんどん株価を上昇させている。

そして、それとは無関係なのだが(関係はあるのだろうが、私の行為が株価に影響を与えてるとい意味ではなく)、私が、今もっとも足を運ぶショップは無印。
ユニクロでもギャルソンでも、古着屋でもない。とにかく無印良品だ。他のお店には、ほぼいっていない。その理由は、無印が展開している「ReMUJI」というリサイクル企画が大好きだからだ。
ReMUJIという企画:洗い直しと染め直し
このReMUJIには大きく2つのカテゴリーがある。
- 洗い直し
- 染め直し
さらに、シャツなどにはリビルド(再構築)というカテゴリーもあるが、私はそれはまだ購入していない。
特筆すべきは、価格の安さだ。リサイクル品であることも理由だが、洗い直しの商品は900円または990円程度で販売されている。染め直しの品もおそらく2,000円以下で、しかもその色味が実に渋くて魅力的なのだ。
そして最も私が惹かれてやまないのは、古着が持ってる1点ものとの出会いという楽しみである。1つ1つの商品がサイズ感、風合い。表情がそれぞれ全く違うのである。そこには、大量生産のそれとは異なる雰囲気がある。

古着屋のような偶然性と発見の楽しみ
そうなのだ。ReMUJIには、古着屋で買い物をするような偶然性と発見の楽しみにある。
いつ入荷するかわからず、すべて一点ものなので、つい何度も店舗に足を運んでしまう。また、服のリサイクルにMUJIに持ち込みをしたことはないのだが、持ち込みをするという行為もリピートになる。
不思議なことに、通えば通うほど、他の通常商品も気になり始める。最近では無印のフレグランスを購入したし、娘の誕生日プレゼントにも無印の服を選んだ。
どこまで計算されているかはわからないが、この企画で私は来店率がとにかく向上している。しかも、リサイクルなので、それほど原価はかかってないのでは?と想像する(もちろんリサイクルには相応の手間がかかってるとは思うが)本当によくできていると感じている。
ブランド接点がマインドシェアを拡張する
あるブランドとの接点が増えるほど、そのブランドへの好意度が高まるというのはよく知られた話だ。
私がREMUJIを認識したのは、新宿ピカデリー横の無印良品だが、これをきっかけに、REMUJIを展開している銀座店や荻窪店にも足を運ぶようになった。そして、その都度。他の商品も見ることになるので、結果、シャツ等も購入している。今、私の中での無印というブランドの存在感(マインドシェア)が圧倒的に大きくなっているのを実感する。
思い出してみると。かつて、無印ができたばかりの頃は本当によく通っていたし、とても好きなブランドだった。なんと大学生時代なのでもう30年も前のことだ。深澤直人さんのディレクションが素敵だった。「MUJI Labo」などの企画もかっこよかったし、
ただ、ここ数年はユニクロや他のファストファッションに流れたり、アマゾンでの購入ばかりになったり、入用の場合は100円ショップが家に近かったこともあり、あれだけこだわっていた文房具なども無印では買わなくなっていた。
「ReMUJI」が再びブランドとの接点を生んだ
そんな私が再び無印に足を運ぶようになったきっかけが、この「ReMUJI」だ。
この企画は、無印良品の思想を体現している。「良いものを長く使う」という哲学を、商品を通じて見事に表現している。そして、それにより服の品質が高いことも伝わってくる。実際、一着一着が魅力的だ。
無印のブランド文脈においても、「ReMUJI」はリピート率を劇的に向上させる装置となっている。
結果として、私にとって、「ReMUJI」は、無印とのブランドとの接点を、再度作るという意味でも、「Re:MUJI」という意味を持つようになっている。
さて。今のところ、「ReMUJI」はまだ全国に数店舗しか展開していない。でも、もっともっと広がっていったらいいのにな、と思っている。従来の古着屋とは異なり、無印の商品しかリサイクルしてないが、この企画は、無印による。古着屋特有の「面白さ」や「偶然の発見」という意味を再提案してくれてるような企画だからだ。この価値を取り込んだことで、無印にまったく新しいブランド体験が生まれているのだ。
ユニクロではなく、無印である理由。
ユニクロが同様のリセールサービスを展開することも理論上は可能だが、なぜかピンとこない。
その理由は明確にはわからないが、「ReMUJI」という企画は、無印だからこそ成立するブランドのエッセンスを体現した施策なのだと思う。「良いものを長く使って欲しい」という気持ちと「無印の服なら長く着ることができる」という自信を表現した本当に「らしい」良い企画なのだ。
ブランドを作るのは、非常に難しいものである。そのなかで、無印良品が行っているこれらの施策は、「ブランドを体験する」という行為をミニマムかつ日常的に体感できるように設計されている点で、非常に素晴らしい取り組みだと感じている。
おそらく、今後も、入荷した一点ものを楽しみに、私は無印の店舗に足を運び続けると思う。
この記事を書いたのは
- 鈴木 康孝
- シックスワン株式会社。マーケティング&プロモーション領域担当。クリエイティブとかアイデアとか好き。尊敬する人、村上春樹さんと永井均先生と佐藤雅彦先生。今年の目標は、プログラムと英語をちゃんとやること。サウナと交互浴が大好き。
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