これだけは、マーケで抑えておきたい「3つの視点」

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難解な理論よりも、結局シンプルな原則

マーケティングにはさまざまな用語があります。○○マーケティングや△△戦略など、新しい言葉が次々に登場しますが、長く実務に関わっていると「やっぱりこれだな」と思う、変わらず役立つ3つのキーワードがあります。

これは、私が長年勤めていた人材業界、とりわけ求人広告の分野で教わった基本でもあります。求人広告というのは、「この企業に応募しよう」「ここで働こう」と、読者が自分の人生や時間を賭けた意思決定をする場面です。だからこそ、人を動かす方法論が凝縮されています。

求人広告はブランディングよりもダイレクトマーケティング色が強く、施策の成果が明確に数値で現れます。どんな表現や打ち出し方が効果を生むのか、クリエイティブの技術が非常に洗練されているのです。その求人広告作りの現場で、繰り返し出てきたのが**「誰に、何を、どのように」**という3つの要素です。これはマーケティングの根幹に通じる原則だと、今でも思っています。

「誰に、何を、どのように」というフレームワーク

社会人になって最初の上司が、求人広告の中で著名なコピーライターの方だったのですが、その方がよく使っていたのがこのフレームワークでした。議論の場でたびたび登場し、3つのうち1つでも不明確だと「やり直し」と言われていたのを覚えています。

  • 誰に:ターゲット顧客(デモグラフィック・サイコグラフィック)
  • 何を:求職者に提供する価値
  • どのように:広告表現の工夫

という形でした。ただ、これは求人以外に広げて考えると。たとえば、「4P」などのマーケティングミックスは「どのように」に該当するのでは?と思います。プロダクト設計は「何を」に近い話です。しかし、最も重要なのは**「誰に」から始めること**。ターゲットが明確になれば、「何を」も「どのように」も自然に導かれるのです。

「誰に」を絞り込めば、サービスは鋭くなる

この「誰に」の設定がもっとも重要です。絞り込めば絞り込むほど、サービスにエッジが立つ。結果として「何を」「どのように」も明確になり、顧客に伝わりやすくなります。

求人広告はよく「ラブレター」にたとえられます。ラブレターは誰にでも送るものではなく、名前を持った一人の個人に向けたものですよね。マーケティングでも同じです。「誰に」という問いを深掘りし、その人のライフスタイル、価値観、悩みを理解し、独自のセグメントとして定義することが第一歩です。

「どのように」から始めると、本質を見失う

一方で、多くのビジネスや施策は「どのように」から始まります。方法論や手法ばかりが先行し、肝心の「誰に」が曖昧なまま進めてしまうことが多いのです。

例えば、表現をどうするか、媒体を何にするか、などは「どのように」の話ですが、「誰に」が定まっていなければ、どんな施策も的を射ることができません。届け先が不明確なまま、見せ方だけに工夫を凝らしても、意味がないのです。マーケティングは複雑化しているように見えて、突き詰めるとシンプルです。大事なことは人を、人の心を動かすこと。だから、「誰に、何を、どのように」というフレームワークは本当に役立ちます。この3つを常に意識し、特に「誰に」から始めることを忘れない。これは、今でも変わらず役に立つ最強のフレームワークだと私は思います。

この記事を書いたのは

鈴木 康孝
シックスワン株式会社。マーケティング&プロモーション領域担当。クリエイティブとかアイデアとか好き。尊敬する人、村上春樹さんと永井均先生と佐藤雅彦先生。今年の目標は、プログラムと英語をちゃんとやること。サウナと交互浴が大好き。
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